「昨日の花火、綺麗だったね」
「うん。……紫苑くんは、どの辺りで見てたの?」
お互い違う相手と過ごしていた時の話題だと言うのに、ずいぶんほのぼのとした会話の入り。
上辺を撫でるようなラリーが続いて、ちょっとずつ確信に迫っていく。
「……でも本当は俺、美玲ちゃんと……」
「えっ……」
はい、いい絵いただきましたー。
……とかツッコまないと聞いてられないわ、こんなむず痒い会話!
紫苑×美玲の生温かい進展イベントに首突っ込んでもいいことないから、出る幕もないし。
これは後で紫苑に「昨日楽しかったね♡」とか擦り寄って、“勝ち目のない恋に浮かれる可哀想な子”になるのが妥当かな――……
なんて考えていると。
ギシ。
頭のすぐ横で、ソファの背もたれに誰かが体重をかけた音がする。
「おはよう、瑠奈ちゃん」
妖しく落ちるミドルボイス。
見上げると真上に――紫苑がいた。



