♡
7:45。
ひよりと陸が起きてきて、キッチンの辺りが賑わい始める。
今週の朝食係はひよりと陸。
現場監督で大和もついて、愛玩動物2人に挟まれてわいわい楽しそうに朝食を作っている。
そこに、キッチンカウンターの向こう側から読書の手を止めた美玲もおしゃべりに参加している。
賑やかな毎朝の光景。
『今日の天気は晴れ!
ただし、ゲリラ豪雨にご注意ください……』
私は離れた場所にあるソファに座って、ひとりでつまらなそうにテレビでニュースを流し見る。
わちゃわちゃとした輪の中には積極的に入らない。
これも、毎朝のことなのだ。
「ふぁ……はよー」
男子フロアの方から、まだ眠そうに溶けた声がした。
「あっ紫苑くんっおはようございますっ」
「はよーっス!紫苑さん」
……紫苑が起きてきたのか。
背中越しの会話で、紫苑の登場を察する。
美玲もいるから一旦ステイ。
気付いてないフリで様子を見よう。
「おはよ、美玲ちゃん」
「……おはよう、紫苑くん」
美玲に向けた声だけ、ちょっと優しくなる。
美玲の声色も、それに呼応するように照れた緊張を帯びる。
背中がむずむずするほどの甘酸っぱい空気。
毎度のことながら、空気を一瞬で恋色に変えるふたりのやりとりにはホント感心する。



