――どっちにしろ、“紫苑に横恋慕する悪女・瑠奈”にとって、これは脅威だ。 表情を固くして私の返事を待つ大和に、可愛く笑いかける。 “なーんにもないよ” 腑に落ちない。 大和はそんな顔をしているけど、それ以上踏み込むつもりはないのか曖昧に頷いて立ち上がる。 美玲が本気で紫苑を落としにいくのなら、私も気を引き締めてかからないと。 “仕事脳” 爽真にそう言われたことも忘れて。 台本外の恋が発生している可能性なんて微塵も考えず、気合を込めてコーヒーが染み込んだ雑巾を握りしめた。