“成宮紫苑”ってメインキャストを利用して、流れを身勝手にぶった斬って。
自分を嘘で塗り固めてまで、目立ちたいのかよ。
「それ、わざとやってんの?」
偽物を作っている証拠を押さえるかのように、まっすぐに伸びた香月瑠奈の髪を掬って捕まえる。
図星を突かれたせいなのか、香月瑠奈の顔がほんの少しだけ赤くなる。
その反応は本物なのに、浮かべた笑顔は偽物だった。
「“それ”って――、どれのこと?」
「わかるだろ。白々しい演技やめてくれない?
痛いだけだから」
周りに引かれてんのわかってる?
空気引っ掻き回して全員困惑してんの、気付いてないのか?
「目立ちたいだけのアドリブで空気壊されると、こっちが迷惑すんだよ」
イライラが止まらない。
だから、冷蔵庫のドアにかけた香月瑠奈の手に、力がこもったことにも気づかない。
俺は嫌な仕事押し付けられて、役割に縛られてわけもわからず息苦しいのに。
――なんでお前は自由なわけ?
(この世界はすべてが決められた作り物だって、知ってんだろ)
「今回のメインが誰か、わかってんの?」



