「こーこー2年生。17歳の、瑠奈です♡
よろしくお願いしまーす♡」
“そういうキャラ”みたいな二次元感のある現実味のない仕草と表情。
それなのにわざとらしさがないから、“やばい奴だ”と本能が察知する。
周りの奴らも同じように固まって、空気が凍る。
なのに瑠奈と名乗ったソイツだけは、どこが得意げに笑っている。
「2ショットタイムしたいですっ
――紫苑くんと♡」
周りの空気を奪っておいて、自分は嵐のように傍若無人に立ち振る舞う。
俺を通り越して紫苑を見るその大きな目が、獲物に狙いを定めた肉食動物のように爛々と光っている。
(……でも、なんだ?この違和感)
目を付けた男にアプローチしているように見えて、もっと別の何かを掴もうとしているかのような。
成宮紫苑が頷くや否や、その腕を取って出ていく“瑠奈”を目が追っている。
バタンと勢いよく閉まったドアに、「アイツはやばい」とざわつく声。
「……」
(紫苑を連れて行ったということは、メインストーリーに絡む女?)
――この時の俺は、メインストーリーに絡む白石のライバル役の女が誰なのかは知らなくて。
(なんでもいいけど、決められた大筋から逸れるようなことすんなよ)
予定調和を崩しかねない瑠奈の身勝手な行動に、ただただ苛立ちを募らせていた。



