――――……
「うわぁ、なんか緊張するね」
リビングに集結した8人の高校生。
俺の隣に立つやたらと爽やかな男が、先陣を切って緊張を破った。
(コイツが成宮紫苑か)
“メインストーリー”の主役の1人。
俺はコイツのライバル役。
“王道ピュア恋”ってやつにピタリと当てはまる風貌だから、すぐにわかった。
「……ですね。私も、心臓バクバクいってます……」
――白石はここでもオドオドしている。
たまに事務所で見かけると、ことごとくこっちを見ているからなんとなく印象はある。
いつも怯えているみたいな、大人しい優等生。
俺に課せられたのは、そんな白石に感化されて惹かれていくストーリー。
細かい指示もなしに、そんな大雑把な台本だけでどうその結末に行けばいいんだとほんの少しイラついた。
“恋が”“出会いが”と、生ぬるい空気の中で全員が全員似たような言葉を並べ立てる自己紹介が続く。
「……爽真。17歳。高2です」
“無愛想で無口な爽真”の役を笠に着て、そこに乗れない感情は隠さない。
続く女子の自己紹介も似たり寄ったり。
どうせ俺と同じく“設定”があるくせに、とより白けた気持ちになった時――
「瑠奈だけの王子様を見つけるために、ここに来ました♡」
耳を疑うほど高く、鼻にかけたような甘え声に衝撃を受けた。



