8月1日。日曜日。
今日から1ヶ月間。
俺は24時間台本に縛られた、意味不明な世界で生活することになる。
『瀬名くんはいつも通りでいいから。
いつも通り――より少し意識して、無愛想に口数少なくして。
演技なんて大袈裟なこと言わないから、そこに“美玲”を好きになっていく過程を付け足して』
この仕事の説明を受けた時、最初に言われたことがこれ。
“リアリティショー”。
そう謳いながら、中身は全くのヤラセ。
くだらない。
これをエンタメとして消費する感覚が、俺には理解できない。
ハリボテのくせに真っ白なシェアハウスの外壁は、夏の日を受けてその清廉潔白さを声高らかに主張しているようだ。
長期旅行並みの荷物を手に、貝殻リースがかかるドアの前に立って重いため息を一つ。
無難に、要求された仕事をこなしていくだけ。
そう言い聞かせて、太陽の熱が染み込んだドアノブを押した。



