台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―


爽真の肩に面食らった頬がぶつかる。

息をした瞬間、切なくなるような石鹸の匂いが胸をいっぱいに満たした。


「知ってる。だから、それ以上言うな」


耳元のすぐそばに落ちてきた、ひどく淡々とした切実な声。

私の手首を握る爽真の手の力は、強まったのに優しくて。

きゅんと狭くなる胸が、壊れそうなくらい大きな音を立て始めた。


爽真の手の温度が馴染むごとに、拳が解けていく。

ゆっくりと持ち上がった爽真のもう片方の手は、私の背中近づきかけて、迷って、だらりと落ちていく。


「仕事脳。職業病。演技って言えばなんでも通ると思うなよ」


そんな静かな悪態と共に、爽真の口から「は――……」と、長いため息が漏れる。

爽真の肩に預けた頭に、すり、と爽真も頬を寄せてきた。