ドンと鳴って、パラパラと花火が散る音がする。
スターマインがひとつ終わったのか、その一発を最後にあたりが暗闇に落ちる。
紫苑と間近に向き合ったまま、世界ごと時間が止まったみたいだ。
「――ちょっとは俺のこと、意識した?」
唇が触れ合いそうな距離で、紫苑がトーンを落として囁いてくる。
思わず少し後退りして、手の甲で唇を押さえた。
それを見た紫苑が、満足そうに口元を緩ませる。
それから態とらしく私の肩口を手で払って、パッと体を離した。
「カナブン。肩に乗っかってたよ」
「……へっ?」
反射的に肩口を払ってしまって、紫苑の口元がまた楽しそうに緩んだ。
「あ、もう大丈夫。今払ってたでしょ?俺」
「……」
いけしゃあしゃあと。
けど、そのおかげで脱力して、演技できるだけの余裕が戻ってきた。
「も、もう〜っびっくりした!瑠奈、キスされるのかと思っちゃったよっ」
――そう、キスされるかと思った。



