台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―



一般客の喧騒から離れた仮設テラスでは、複数の撮影スタッフが、爽真と美玲を囲んでいる。

カットフルーツやトロピカルジュースが彩る丸テーブルを傍に、2人はテラスの柵に腕を置いて、並んで花火を見ている。

「わぁー……綺麗……」

次々に上がる打ち上げ花火を、美玲は恍惚とした顔で見上げる。

――そんな美玲を、爽真はずっと見つめている。

今朝からずっと、強いられている演技指示。

ゲームで勝つこと。
誘うのは美玲。


今日1日を楽しく過ごして、
花火を見て喜ぶ美玲に恋をすること。


「綺麗だね、爽真くん」

珍しくはしゃいだ美玲が、こっちを見て無邪気に笑う。

綺麗で、正しくて、
この笑顔がきっと、恋に落ちる瞬間で。


――なのに心が動かない。

せめてもの思いで触れた指先に、ずっと心が囚われている。


(やっぱり、俺に演技は向いてないな)


心がないものに感情を込めることができないし。
かといって、心があれば全然抑えられないし。


あの浴衣を着てるくせに、少しも俺を見ようとしなかった瑠奈のことが、ずっと頭から離れない。