台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―



――ずっと花火を見ていた紫苑が、ふと私のことを見る。

花火の明るい光が痛々しく照らす私の横顔に、目を奪われて息を呑む。

それと同時に胸に覚えた違和感を、咀嚼するように目を伏せた。


「ねぇ、瑠奈ちゃん」


味わったものを飲み込んだ紫苑の唇が、甘く優しく動き出す。


「今――、誰のこと考えてるの?」


――色のある声が直接耳に入り込んできて、びくりと肩を揺らす。

それに反応して、紫苑の方を向きかけた刹那――

紫苑が少しだけ腰を浮かせて、私の前に影を作る。

強制的に視界を遮られて、紫苑のことしか見えなくなった。


「ね。俺、本気になっちゃった」


甘く囁く、私だけに届いた声。

面食らっているうちに、妖しく光る色素の薄い瞳はゆっくりと細くなる。

紫苑が作る影が濃くなって、綺麗な顔が近づいてくる。


何が何だかわからないまま、ゆっくりと。


カメラの背面液晶の中で、私と紫苑のシルエットが重なった。