「いいよね〜。
……でも美玲は、紫苑と見たかったと思うなーぁ」
彩加がチラッと視線で紫苑に棘を刺す。
けれど紫苑は、にこにこと穏やかな笑顔を浮かべたままだ。
「はは、そうかなぁ」
「そうでしょ!てか、紫苑ももっと悔しがんなよ!
爽真にとられるよ!?」
ズン。
紫苑のお尻を叩くための彩加の言葉がなぜかこっちに刺さって、笑顔がヒクッと揺れた。
紫苑は、そんな私を密かに一瞥する。
それからみんなの方に向き直って、やっぱり爽やかに笑うだけ。
「それは困る。だから頑張らないとね」
「軽すぎるッ!もっと本気で――」
「まぁまぁ、彩加。ほら、場所取り行こうよ」
レジャーシートを抱えた大和が、まだ説教し足りなそうな彩加を引き連れ遠くに歩いていく。
ひよりと陸も「またあとで」と2人一緒にどこかに消えた。
「じゃ。俺たちも見る場所決めよっか」
「……うんっ♡」
シートを持った紫苑に、ちょこちょこ歩いてついていく。
慣れない下駄で砂浜に足を取られるから、なんか足取りが重かった。



