――それを見た爽真の目が、ほんの僅かに見開く。
その視線は、私と紫苑に縫い付けられたかのように動かない。
今、どんな気持ちなの?
わからなかったけど、どうしてか余計に胸が痛くなって――
爽真達を見つめ続けることができなくなった。
「紫苑くん。花火会場って、向こうを左に曲がるんだっけ?」
……演技プラン変更。
爽真と美玲から顔を背けて、ゆるく絡めた紫苑の手を揺する。
わざと紫苑に逆方向を向かせて、美玲に気づかないようにさせた。
「確かそうだった気がする。ほら、あそこの通り。
人の流れが多い方」
紫苑もすぐに演技を合わせて、私が示した方を向く。
紫苑と私。
爽真と美玲。
人の流れに押されて、距離はもうすぐそこまで詰まっている。
気づかないフリの“瑠奈”と、気付いているけど何も気にしない爽真。
そして、全く気付いていない紫苑と美玲――というテイで。
ドクドクと嫌に緊張した胸の音。
カメラの前で、すれ違う瞬間。
「……!」
体の横に置いていた指先に、ふ、と何かが触れる。
温い温度と、さらりとした感触。
不穏な音を立てていた心臓がギュッと締まって、音が止む。
知ってる。これは、爽真の指だ。



