台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―


アホな口を手で押さえて気まずく目を逸らす。

紫苑も目を丸くして、唇をわずかに開けている。


これはもう、別の話題でなかったことにするしか!


「あの、瑠奈ね――……」

「ふはっ、」

私の声に、紫苑の笑い声が重なる。


「今、完全に素だったでしょ。瑠奈ちゃん」


眉尻を垂らして、大口開けて。
嬉しそうな、蕩けそうな、胸をくすぐるあどけない笑顔。

「な、なんのことぉ?」

「あっ。しかもちょっと照れてる」

「照……ッ、……んん、瑠奈、照れてないもんっ」

「強情だなぁ」

火照る頬に眉を寄せる私に、紫苑はけらけらと笑いながらカメラを構える。

「ちょっと紫苑くん!今、カメラ禁止っ」

小さな液晶にドアップで映る私を見る紫苑が、あまりに楽しそうにするから。

「なんで?いいじゃん、可愛いんだから」

「っ、そーゆーセリフも禁止なの!」


口調も仕草も、ちゃんと“瑠奈”をしてたんだけど。


(この人、いくつ顔持ってるの!?)


結構普通に話してしまった。