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ポイを渡されて、紫苑と2人金魚が泳ぐ浅い水槽の前に並ぶ。
行き交う人混みから覗く、金魚掬いをする男女。
あったかい屋台の熱電球と、派手な色の看板。
うん、いい絵じゃない?
「勝負ね!紫苑くん。
どっちがいっぱい掬えるか」
容器に水を入れて、浴衣の袖を捲り上げながらポイを紫苑の方に向ける。
「勝負って……できるの?瑠奈ちゃん」
「あっ今瑠奈のことバカにしたでしょ〜?
できるもん。負けたらわたあめ、紫苑くんの奢りだからね?」
2人一緒に水の中にゆっくりとポイを差し入れる。
捲った浴衣の裾から伸びる私の手首と、まつ毛の伏した横顔を、紫苑は密かにぼんやりと見つめてくる。
数秒後。紫苑の視線がやっと金魚に向かったのと入れ替わるように、今度は私が紫苑を盗み見た。
ちらりと見えた暖色の熱電球の下にいる紫苑の横顔は、完璧な王子様。
密度の高いまつ毛は長くて、高い鼻筋はスッと通っていて。
真顔でも薄く微笑んでいるように見える唇は、爽やかさと妖艶さを両立させている。
(ずるい男だ、成宮紫苑)
夕闇に灯る屋台の光すら味方につけて、きっとまたファンを増やすんだろうな。



