「あっチョコバナナ!すきー♡」
「結構いろんな屋台があるね」
「紫苑くんは、射的とか得意?」
「どうかな、あんまりやったことないかも」
無難な会話を重ねながら、淡々と参道を歩いていく。
紫苑は私のスキンシップを拒否しない。
「コイツには何言っても無駄、もう諦めました」って演技なんだろうか?
……それにしても、美玲と紫苑に上っ面の会話とか言ったわりに、私も大差ないわ。
カメラの前だから、下手にプライベートに突っ込みすぎたことも聞けないし。
なんでもない会話って、案外難しいんだな。
(でも恋の色は出せるから。そっちで勝つ)
世間に受け入れられる悪女への道・その1!
はい、復唱!
“矢印は一本に絞るべし”!
そしてその相手は、紫苑!
「ねぇねぇ紫苑くん♡金魚掬いやろーよ」
紫苑の腕を揺すって、可愛く甘えながら金魚掬いの屋台を指差す。
「え?ああ……いいよ。やろっか」
私を見た後の紫苑の返事が、不自然に遅れる。
けれどすぐに綺麗な笑顔で頷いてきたから、気のせいだったのかもしれない。
「じゃあ決まり♡行こー♡」
紫苑の腕を引っ張って、金魚掬いの屋台に近づいていった。



