ほんとの恋

 「ふーっ。何とかセーフや。侠ちゃん、早よ行こ?」

 「わかったから、先行っとけや。俺はバイクの片付けがあんの」

 侠ちゃん、分かっててゆうとるな。

 だって口元がにまにましとるもん。

 あたしが1人でバイク置き場から下駄箱まで行きたくない理由はーーー虫や!

 最近なんか知らんけど(夏が近づいとるからやとあたしは思っとる)、虫がどんどん増えてく一方や。

 虫が怖くて仕方ないあたしはこの道を絶対1人で通りたくない。

 一緒に来て、とゆうと毎回なんかしらお願い事をしてくる。

 ほんとは侠ちゃんのゆうことなんか聞きたないけど、1人では通れないから聞かざるを得ない。

 「きょ、侠ちゃん。一緒、来て?」

 怖すぎて体と声が震える。

 そしてあたしが子供の時から(まだ子供やろby陽莉母)お願い事をするときに出てくる癖、首を傾げるとなぜか大抵の人はゆうことを聞いてくれる。

 侠ちゃんはいつもあたしがお願い事をすると10秒くらいフリーズする。

 「ヒマ、それやっちゃダメゆうてるよな?」

 そう、なぜか侠ちゃんはあたしが首を傾げると怒ってくる。

 なんでも胸を打たれる?人がいるらしい。

 「あ、ごめんなさい。でも癖やし、直らんからもう直さんくてええんとちゃう?」

 「ぜっっったい、ダメや!」

 めっちゃ溜めたなぁ。

 「もぉ、お願いやから一緒に来てぇや」