ほんとの恋



 小学生んときはもっとかわいげあったのになぁ。

 「はいはい、わかりましたぁ」

 「なんやねんお前。はいは1回って俺が(なお)先生に怒られてた時隣で居眠りしとったやろ!んなことしとるからはいはいとかゆうんや。あーあー、次脩先生にあったらゆっちゃおー」

 げっ、どんだけ昔のこと蒸し返してくんねん。めんどいなぁ。

 まぁあたし、脩先生好きやったし?

 その学年の時優等生しとったから脩先生も気に入ってくれとったやろうし。

 「多分無駄やで。お疲れ様です、や!」

 にぃっと笑って言ったる。

 侠ちゃんが悔しそうな顔をする。

 思い出したんやろな、あん時のこと。

 あれは確か小5ん時やったからー、あぁ、クラス委員とかやっとったっけなぁ。

 ふと時計を見る。

 はちじ、さんぷん。

 うん?見間違えたかも、もう1回。

 「え、う、は?」

 やっぱ8時3分なんやけど。

 「なんやねん時計見て変な声出しよって。そんな時間やばいんkーー時間!」

 急に大声出さんといてや、うっさいなぁ。

 「もう8時過ぎとるやないかい!早よ乗りぃや!」

 侠ちゃんがバイクを指さす。

 そう、いつもあたしが侠ちゃんと登校するのを嫌がる1番の理由はこれ。

 ヤンキーっぽいやん。

 「お前なぁ、これじゃなかったら遅刻するけどええんか?」

 えぇぇぇ、バイクに乗るのは嫌やけど、遅刻したら怒られてまう。

 しゃあない、背に腹は代えられん!

 「わかったわ、乗るわ」

 侠ちゃんは満足そうに頷いた。

 えぇ、やっぱ乗りたないってぇ。

 「もう決めたやろっ。はよ乗れや!」

 「でもさぁ、、、」

 侠ちゃんはため息をついて、自分はまたがってたのにわざわざおりて。

 「…?」

 あたしの腰を掴んで持ち上げよった。

 「…っ?!?!」

 そしてあたしの体をバイクに乗せて、自分もあたしの前に乗った。

 「ちょ、ちょ、なんであたしを抱える必要があったん?!」

 別に、「抱えるぞ」とかゆったらあたしちゃんと乗ったし!

 「お前このままやったら遅刻ギリギリまで乗らんかったやろ?そんなのごめんやから乗せたったわ」

 はぁ?

 最悪!

 ひどいわ!

 「お前さ、体ーーー」

 かぁぁっと顔が熱くなる。

 どーしよ、最近食べ過ぎたかもしれへんし…

 「ーーーな、何?!重いとかゆうんか?」

 ため息をつかれた。

 え、そのため息何?!

 どっち?!

 「いわんわ、逆。お前軽すぎ。食ってねぇとは言わねぇけど、動きすぎや。運動量に対して食う量が合ってねぇ」

 「え?」

 「体重何キロやねん」

 「え、あ、後でゆったるからとりあえず進みぃや!」

 「へいへい」

 ぶうぅぅうん、とバイクが進みだす。

 「で、どんだけなんや?」

 もぉごまかせんか、ちょっと言いたくないんやけどなぁ。

 「早よ言えや。今からうるさくなって聞こえづらくなるねん」

 「わかったわ!よ、43キロ、や!」

 もぉ、言いたくなかったのにぃ。

 「はぁ?」

 なんやの、はぁ?って。

 失礼やで。

 「お前、高1の156㎝やったな?」

 なんであたしの身長覚えてんねん。

 怖っ。

 「そぉやけどそれがなんか?」

 「お前、軽すぎんで?俺なんかなぁ、175㎝の69キロやで?」

 「え、重っ」

 やば、本音が出てしもた。

 怒られるかも。

 「ちゃう、お前が軽すぎるんや」

 「え、で、でも男子と女子やし」

 せやせや、その差は大きいんとちゃう?

 「そーゆー問題とちゃうで?」

 なんで断言できんねん。

 「こないだ身体測定の結果帰ってきたやろ?確か女子の平均身長が158㎝。んで、女子の平均体重が52キロ。どや、女子と比べてみぃ」

 なんで男子の侠ちゃんが女子の結果覚えてんねん。

 まぁ記憶力ええのは知っとるけどなんか女子のことやのにあたしが知らんくて侠ちゃんが知っとるのはムカつくわぁ。

 そんなあたしをよそに、ニーッ、と笑って侠ちゃんは説明しだした。

 「お前は平均身長-2㎝に対して平均体重-9キロ。どや、この差がわかるか?女子と比べてもお前は軽いんや」

 なんか正論言われた気がして腹が立ってしもたから学校につくまで話題を変えて過ごした。