あたし、姫野陽莉。
隣を歩いとるのは口うるさい幼馴染、五十嵐侠介。
今、高校入学してから1ヶ月くらいやねんけど、入学式の翌日から毎日お迎えに来る鬱陶しいったらない奴や。
「お前なぁ、おばちゃんの前で喧嘩したくないゆうてきたのはどっちやったか覚えてはりますか?」
はぁ?あたしのことバカにしてんとちゃう?
あたしかてそこまでバカでも阿保でもないんやけど。
「何、あたしの記憶力バカにしてんの?!覚えてるにきまっとるやん」
「ほなゆってみ?」
「あたしや」
「おぉ、即答やん」
当たり前やろ。なんやねん、あたしが即答できひんかと思っとったんか?
「だったらなんで俺が迎え行ったった時に文句ばっかゆうんや?喧嘩の原因つくってんの自分やないかい」
「それは侠ちゃんがあたしをイラつかせるのが悪いんとちゃう?そもそもウチに侠ちゃんが来んかったら喧嘩できひんからええやん」
「お前なぁ…」
侠ちゃんが頭をかきむしった。
なにやっとんねん。
「なんや?あたしのド正論に反論できんようなってしもたんか?」
「なわけないやろ」
「ほんならなんか返さんかい」
「俺はな、おばちゃんにお前の送り迎えを頼まれとるんや」
そんなわけないやろ。いくら侠ちゃんを気に入っとるおかんでも…
いや、ありえるわ。
「…わかりましたか、陽莉さぁん?」
うっざ、なんやねんこいつ。


