「ってことがあってさ」
「え! すごい! さすが遼くん!!」
「そうでもないよ」
そう呟きながら、照れたように笑う彼。
私の大好きな彼氏、遼くんだ。
遼くんは面白くて、背が高くて、優しくて、まさに私の理想の人。
しかも、おまけにお顔のビジュアルまで最高クラスなのだ。
真っ白な肌。
すっとした大人っぽい目。
高めの鼻。
どこか幼さを残した大人の顔、と言うべきだろうか。
とにかく、すべてのパーツのバランスが整いすぎている。
(かっこよすぎるなぁ……)
横顔をじっと眺めていると、私の熱い視線に気づいたのか、遼くんが困ったように笑った。
「純恋にそんなに見つめられると、なんか照れるんだけど……」
そう言って、目線をそらすように俯く。
残念ながら顔は見えないけれど、髪の隙間から覗く耳が真っ赤だ。
その様子がたまらなく愛しくて、自然と私の口角が上がる。
「照れてるの? 耳、真っ赤だよ」
わざとそうやってからかうと、
「別に……」
消えそうな声で返事が返ってきた。
さっきよりも、さらに耳が赤くなっている。
……まぁ、ここは照れてないってことにしておいてあげるか。
そんなことを考えて、小さく笑った瞬間。
急に、私の右手が温かい体温に包まれた。
「え……っ!?」
何が起きたのか理解するのに、数秒かかってしまう。
手元を見ると、お互いの指が深く絡み合う『恋人繋ぎ』をしていた。
「りょ、遼くん!?」
驚いて上ずった声のまま、慌てて遼くんの顔を見上げる。
「仕返し」
短くそう答えた遼くんは、いたずらっぽく、くしゃりと笑った。
(な、にこれ、ずるい……!)
この笑顔を見て惚れない女の子なんて、この世にいないんじゃないかって思う。
それくらい、破壊力がすさまじいイケメンスマイル。
「純恋だって、顔真っ赤じゃん」
「うるさい! こっち見ないで!」
赤くなった顔を隠すために慌てて下を向くけれど、遼くんは意地悪に顔を覗き込んできた。
今日の帰り道、周りに誰もいなくて本当に良かった。
こんなにゆでダコみたいに赤い顔、遼くん以外の人には絶対に見られたくない。
「照れてんの?」
ここぞとばかりに、ニヤニヤしながら聞いてくる。
「……バカッ!!」
ああ、幸せだな。
心から、そう思った。
──けれど。
その幸せは、一瞬で終わりを告げた。
「あ、鈴夏じゃん」
遼くんの声に、ハッとして視線を動かす。
その先にいたのは、私の友達でもある鈴夏だった。
本屋の袋を持っていて、中には文庫本が何冊か入っているのが見える。
鈴夏は私達の視線に気づくと、一瞬だけ目を見開いた。
そして、ぺこりと小さく会釈をして、まるで逃げるようにどこかへ走り去ってしまった。
繋がれた右手が、急に冷たくなった気がした。
その瞬間。
どす黒い罪悪感が、一気に私の心を支配していく。
(……ごめん)
心の中で、何度も何度もそう呟いた。
これを言葉にして直接伝えられたら、こんなに苦労はしていないのに。
結局その日は、初めて恋人繋ぎをした記念日だったのにも関わらず。
胸の奥をぐるぐると渦巻く、なんとも言えない暗い感情と一緒に、最悪の気分で一日を終えた。
「え! すごい! さすが遼くん!!」
「そうでもないよ」
そう呟きながら、照れたように笑う彼。
私の大好きな彼氏、遼くんだ。
遼くんは面白くて、背が高くて、優しくて、まさに私の理想の人。
しかも、おまけにお顔のビジュアルまで最高クラスなのだ。
真っ白な肌。
すっとした大人っぽい目。
高めの鼻。
どこか幼さを残した大人の顔、と言うべきだろうか。
とにかく、すべてのパーツのバランスが整いすぎている。
(かっこよすぎるなぁ……)
横顔をじっと眺めていると、私の熱い視線に気づいたのか、遼くんが困ったように笑った。
「純恋にそんなに見つめられると、なんか照れるんだけど……」
そう言って、目線をそらすように俯く。
残念ながら顔は見えないけれど、髪の隙間から覗く耳が真っ赤だ。
その様子がたまらなく愛しくて、自然と私の口角が上がる。
「照れてるの? 耳、真っ赤だよ」
わざとそうやってからかうと、
「別に……」
消えそうな声で返事が返ってきた。
さっきよりも、さらに耳が赤くなっている。
……まぁ、ここは照れてないってことにしておいてあげるか。
そんなことを考えて、小さく笑った瞬間。
急に、私の右手が温かい体温に包まれた。
「え……っ!?」
何が起きたのか理解するのに、数秒かかってしまう。
手元を見ると、お互いの指が深く絡み合う『恋人繋ぎ』をしていた。
「りょ、遼くん!?」
驚いて上ずった声のまま、慌てて遼くんの顔を見上げる。
「仕返し」
短くそう答えた遼くんは、いたずらっぽく、くしゃりと笑った。
(な、にこれ、ずるい……!)
この笑顔を見て惚れない女の子なんて、この世にいないんじゃないかって思う。
それくらい、破壊力がすさまじいイケメンスマイル。
「純恋だって、顔真っ赤じゃん」
「うるさい! こっち見ないで!」
赤くなった顔を隠すために慌てて下を向くけれど、遼くんは意地悪に顔を覗き込んできた。
今日の帰り道、周りに誰もいなくて本当に良かった。
こんなにゆでダコみたいに赤い顔、遼くん以外の人には絶対に見られたくない。
「照れてんの?」
ここぞとばかりに、ニヤニヤしながら聞いてくる。
「……バカッ!!」
ああ、幸せだな。
心から、そう思った。
──けれど。
その幸せは、一瞬で終わりを告げた。
「あ、鈴夏じゃん」
遼くんの声に、ハッとして視線を動かす。
その先にいたのは、私の友達でもある鈴夏だった。
本屋の袋を持っていて、中には文庫本が何冊か入っているのが見える。
鈴夏は私達の視線に気づくと、一瞬だけ目を見開いた。
そして、ぺこりと小さく会釈をして、まるで逃げるようにどこかへ走り去ってしまった。
繋がれた右手が、急に冷たくなった気がした。
その瞬間。
どす黒い罪悪感が、一気に私の心を支配していく。
(……ごめん)
心の中で、何度も何度もそう呟いた。
これを言葉にして直接伝えられたら、こんなに苦労はしていないのに。
結局その日は、初めて恋人繋ぎをした記念日だったのにも関わらず。
胸の奥をぐるぐると渦巻く、なんとも言えない暗い感情と一緒に、最悪の気分で一日を終えた。

