「遼くんを、遊びに誘ってみようと思うの……」
相談があると言われて連れてこられた、人気のない廊下。
開口一番に飛び出した言葉に、思わず息を呑んだ。
どうして私なんだろう。
華ちゃんでも、他の子でもいいはずなのに。
そんな口にはできない考えを悟られないように、私は笑う。
「仲良くなるの頑張ってたもんね」
「応援してる」
自分でも驚くくらい、綺麗な言葉が口から出た。
なのに胸の奥は、またざわつく。
そんなことはつゆ知らず、
「こう思えるようになったのも全部鈴夏のおかげ」
「ありがとう」
純恋ちゃんは、水彩絵の具がじんわり広がるみたいに微笑んだ。
「別に私のおかげじゃないよ。純恋ちゃんが頑張ったからだよ」
そう。
頑張ったのは彼女だ。
時々一緒に話しかけに行くことはあったけれど、基本的には純恋ちゃん自身の力だった。
遼くんも最初は少し戸惑っていた。
それでも今では、二人は自然に笑い合っている。
その様子を見るたびに、胸の奥が少しだけ重くなる。
どうしてなのかはわからない。
純恋ちゃんが頑張った結果なんだから、喜ぶべきことのはずなのに。
それなのに――
遼くんが私に話しかけてきたとき。
純恋ちゃんが会話に入ってくると、なぜか落ち着かなくなることがあった。
一体なんなんだろう。
この感情は。
そんな自分に戸惑っていると、
「今日の昼休みに誘うんだけど……」
純恋ちゃんの声で現実に引き戻された。
見ると、制服の裾をぎゅっと握りしめている。
「その……」
珍しく言葉を探すように視線を泳がせて、
「一人じゃ心細くて……」
そこでようやく察した。
私についてきてほしいんだ。
だめ?
そう言いたげな、あの可愛らしい上目遣い。
きっと最初から、私に選択肢なんてなかったんだと思う。
「私でよければ、一緒に行くよ」
そう答えた瞬間、胸がちくりと痛んだ。
本当は嫌なんじゃないのか。
そんなふうに心の奥が訴えかけてくるみたいで。
「ありがとう! 鈴夏が友達で本当に良かった!」
純恋ちゃんは満面の笑みを浮かべると、ふわりと抱きついてきた。
まるで桜の花びらが舞うみたいに。
そして昼休み。
純恋ちゃんは勇気を振り絞って遼くんを誘った。
結果は――成功。
今週末、一緒に流行りの映画を見に行くことになった。
純恋ちゃんは照れながらも嬉しそうに笑っていて。
遼くんも、まんざらではなさそうだった。
その光景を見ながら私は――
ただひたすら、自分の笑顔が変じゃないか心配していた。
相談があると言われて連れてこられた、人気のない廊下。
開口一番に飛び出した言葉に、思わず息を呑んだ。
どうして私なんだろう。
華ちゃんでも、他の子でもいいはずなのに。
そんな口にはできない考えを悟られないように、私は笑う。
「仲良くなるの頑張ってたもんね」
「応援してる」
自分でも驚くくらい、綺麗な言葉が口から出た。
なのに胸の奥は、またざわつく。
そんなことはつゆ知らず、
「こう思えるようになったのも全部鈴夏のおかげ」
「ありがとう」
純恋ちゃんは、水彩絵の具がじんわり広がるみたいに微笑んだ。
「別に私のおかげじゃないよ。純恋ちゃんが頑張ったからだよ」
そう。
頑張ったのは彼女だ。
時々一緒に話しかけに行くことはあったけれど、基本的には純恋ちゃん自身の力だった。
遼くんも最初は少し戸惑っていた。
それでも今では、二人は自然に笑い合っている。
その様子を見るたびに、胸の奥が少しだけ重くなる。
どうしてなのかはわからない。
純恋ちゃんが頑張った結果なんだから、喜ぶべきことのはずなのに。
それなのに――
遼くんが私に話しかけてきたとき。
純恋ちゃんが会話に入ってくると、なぜか落ち着かなくなることがあった。
一体なんなんだろう。
この感情は。
そんな自分に戸惑っていると、
「今日の昼休みに誘うんだけど……」
純恋ちゃんの声で現実に引き戻された。
見ると、制服の裾をぎゅっと握りしめている。
「その……」
珍しく言葉を探すように視線を泳がせて、
「一人じゃ心細くて……」
そこでようやく察した。
私についてきてほしいんだ。
だめ?
そう言いたげな、あの可愛らしい上目遣い。
きっと最初から、私に選択肢なんてなかったんだと思う。
「私でよければ、一緒に行くよ」
そう答えた瞬間、胸がちくりと痛んだ。
本当は嫌なんじゃないのか。
そんなふうに心の奥が訴えかけてくるみたいで。
「ありがとう! 鈴夏が友達で本当に良かった!」
純恋ちゃんは満面の笑みを浮かべると、ふわりと抱きついてきた。
まるで桜の花びらが舞うみたいに。
そして昼休み。
純恋ちゃんは勇気を振り絞って遼くんを誘った。
結果は――成功。
今週末、一緒に流行りの映画を見に行くことになった。
純恋ちゃんは照れながらも嬉しそうに笑っていて。
遼くんも、まんざらではなさそうだった。
その光景を見ながら私は――
ただひたすら、自分の笑顔が変じゃないか心配していた。

