僕らの青春創作日記

「でさー! 昨日ね、こんなことがあって〜」

「なにそれ、危なっ」

「たしかに〜」

何も気にしてなさそうな声で返事をしているのが、最近仲良くなった純恋(すみれ)ちゃんだ。

純恋ちゃんは、自己紹介のときに堂々と、

「このアイドルグループが好きです!!」

と言っていた。

私も同じグループが好きだったから思い切って話しかけてみたら、意気投合してものすごく仲良くなった。

純恋ちゃんはよく笑っていて、おしゃべりが好きな子だ。

笑顔がすごく可愛くて、見ているこっちまで楽しくなる。

正直、なんで私なんかと友だちになってくれたのかわからないくらい、いい子だった。

そんなことを考えていると、

「あっ、遼くんだ……」

その言葉に思わず視線を向ける。

視線の先には、華ちゃんと将真くんと楽しそうに笑っている遼くんがいた。

「楽しそう……」

消えてしまいそうな声で呟いたその言葉を、私は聞き逃さなかった。

「話しかけに行ったら?」

そう言うと、純恋ちゃんは一瞬驚いた顔をした。

けれど、すぐにいつもの明るい笑顔に戻る。

「邪魔になっちゃったら悪いし……」

そう言って、少し寂しそうに笑った。

「そっか」

これ以上言うのは純恋ちゃんも望んでいないだろうと思って、会話を終わらせる。

そのつもりだった。

「私、遼くんのことが好きなんだ」

「え?」

その言葉に、頭をガツンと殴られたみたいな衝撃が走った。

「……鈴夏ちゃんって、たまに遼くんと話してるじゃん……」

その瞬間、わけのわからない感情が私の心を支配する。

どうしてかわからない。

けれど、その続きだけは聞きたくなかった。

「だから、その……協力してもらえないかなって」

俯きがちに、頬を赤らめながら上目遣いで見つめてくる。

丸っこい瞳。

すっとした輪郭。

少し高めの整った鼻。

桜色の、薄くて可愛らしい唇。

このお願いの仕方で断れる人なんていないだろうな、と思った。

もちろん、私も例外ではない。

「もちろん。私に協力できることなら」

本心のはずなのに。

ちゃんと笑えているのか、不安だった。

「ほんとに!? ありがとう!」

そう言って純恋ちゃんは笑った。

まるで桜の蕾が花開くみたいな、人懐っこい笑顔だった。

いつもなら、その笑顔を見るだけでこっちまで嬉しくなったはずなのに。

今日は違う。

胸の奥がざわざわする。

不安なのか。

焦りなのか。

それとも別の何かなのか。

自分でもよくわからない。

ただ、その笑顔を素直に受け取ることができなかった。

純恋ちゃんは何も悪くない。

むしろ、すごくいい子だ。

なのに。

どうしてこんなに苦しいんだろう。