町田佳乃は悪い男だと思う。
女に酒を飲ませて、へろへろになったところでホテルに誘って、どさくさに紛れてやることやっちゃうタイプで、しかもそれが常習化してるっぽい。いわゆる遊び人で、女を沼らせるのがうまそうなかんじ、といえばわかりやすい。
格好よくて、話が面白くて、背が高くて、色気がある。恋人にするならこんな人がいいなっていう理想がぜんぶ詰め込まれている、ずるい男だった。
お酒を飲んで、ホテルに行く。佳乃くんがやりたがっていることに、従った。あたしはミーハーだったから。
「は。宵って高校生だったの?」
情事のにおいがやや残る、窓のないホテルの一室で、佳乃くんは困った顔をした。ソファーで脚を組みながら、左手の人差し指と中指で煙草を挟んでいる。脚も指もながくて、むかついた。
「うん、高1だけど」
「じゃーどうやってマッチングアプリ登録したんだよ。18歳未満はそもそも登録できないでしょ」
「お姉ちゃんの免許証パクって登録したの」
「やーば。おまえ終わってんな」
煙草の灰を灰皿に落としながら、佳乃くんは悪態をついた。
姉の免許証を拝借してマッチングアプリに登録したのは、ただの興味本位ゆえのことだった。だって、おもしろそうだったから。
「ちょっと不埒な冒険を、してみたくなっちゃったのです」
未成年飲酒をしたのも、こうして男の人とホテルに来たのも、ぜんぶはじめてだった。アルコールのせいで、脳みそはずっとぽかぽかしているし、視界もくらくらしている。彼に貫かれた下腹部も、甘い熱を残していた。誰にも言えない、ひみつの夢を見ているみたいだった。



