いなくなったおねえちゃん



 ……僕は片想いをしている。
 だけど、僕の好きな彼女は、色んなひとにモテている。
 彼女は、素敵過ぎて、色んなひとを恋に狂わせてしまう。
 そのせいで、自我を失ってしまうひとすら出てくる始末だ。
 愚かだと思うけれど、僕が最も恐れているのは、彼女がそんな人間と結ばれることだ。
 だから、僕にとって一番面倒なアイツを、消そうと思う。
 アイツは無鉄砲に行動することが多い野蛮な男子で、ストーキングなんかをやりそうだ。
 僕が彼女を守らなければ。

 ――アイツは、抵抗しなかった。
 僕は、これを犯した後、敵がいなくなって幸せになるのだとばかり思っていた。
 けれど、アイツが最期に僕を見た目が忘れられない。
 そこで気づいてしまったのだ。
 本当に愚かだったのは、自我を失っていく周りのひとびとじゃない。
 誰にも気づかれない、滑稽な正義感に踊らされていた……僕だ。