どうせなら、最後は君に殺されたい




『もう遅い。寝ろ』


「え、ちょっと待って、お父さん!」


『おやすみ、ふみ』



一方的に切れた電話を見つめながら、私はしばらくスマホを耳に当てたまま動けなかった。

もう切れているのに、さっきまで聞こえていた声が耳の奥に残っている。


……会いたい。やっぱり、会いたい。

でも、少しだけ安心した。お父さんは私を忘れていない。ちゃんと私のことを心配してくれている。それが分かっただけで、今日一日の寂しさが少しだけ軽くなった。


私はスマホを胸元に置いて、ゆっくりベッドに横になる。


目を閉じる。今日のことを思い出す。

お父さんのこと。学校のこと。そして――静のこと。



「……静」



小さく名前を呼ぶ。返事なんてあるはずがない。それなのに、なぜか少しだけ期待してしまう。

もしかしたら、静も今、私のことを考えているのかな。そんな考えが浮かんで、私は慌てて首を振った。


……ないない。そんなわけない。



明日こそは、ちゃんと友達を作ろう。静のことなんて気にしないで。私の高校生活を、自分の力で始めるんだ。

そう心の中で何度も言い聞かせながら、私は目を閉じた。


けれど――その夜、なかなか眠りにつくことはできなかった。