そして夜。
屋敷に戻り、お風呂を済ませて自分の部屋に入る。
ベッドに横になって天井を見上げると、今日一日の出来事が次々と蘇ってきた。
高校生活初日。思っていたよりずっと大変だった。でも、少しだけ楽しかった。
友達にはなれなかったけれど、女の子たちと話せたこと。普通の高校生みたいな会話ができたこと。それは素直に嬉しかった。
……なのに。
最後に思い出すのは、やっぱり静のことだった。
「……なんなの、もう」
枕を抱きしめながら、小さく呟く。
7年ぶりに会えた時は、ただ嬉しかった。帰ってきてくれたことが奇跡みたいで、もう二度と離れたくないと思った。
それなのに、今は少し……。
もうやめよう。考えても答えなんて出ない。
気を紛らわせるために、ベッドの横に置いていたスマホを手に取る。
連絡先を開いて、そこにある名前を見つめた瞬間、胸の奥がきゅっと締め付けられた。



