その日の授業は、正直ほとんど頭に入ってこなかった。
教科書を開いて、先生の話を聞いているふりをしていても、気づけば意識は別のところに飛んでいる。
静のこと。朝の電車のこと。教室で女の子たちに囲まれていた静のこと。
全部、考えないようにしているのに、勝手に頭の中に浮かんできた。
……別に、静が誰と話していようが関係ない。
静には静の生活がある。私だって友達を作りたいって言った。
なのに。どうしてこんなに気になるんだろう。
そんなことを考えているうちに、あっという間に一日が終わった。
帰り道も、静はいつも通り私の隣を歩いていた。
朝みたいに女の子たちに囲まれることもなく、学校を出ればいつもの静に戻っている。
だけど、私はなんとなく素直になれなかった。
「疲れましたか?」と聞かれても、「別に」と短く答えるだけ。
静は何か言いたそうな顔をしていたけれど、それ以上は何も聞かなかった。



