「困るんですよ、無自覚に煽られると」
ぽつりと落とされた言葉に、はっと顔を上げる。
「……え?」
静の瞳が、まっすぐ私を捉えていた。さっきまでの呆れたような表情とは違う。
鋭くて、少しだけ熱を帯びたような瞳。その視線に見つめられた瞬間、胸がどくんと大きく鳴った。
「あ、煽るって……」
私、何かした?煽るって何?そもそも私は、静を煽るようなことなんて何もしていない。
そう思ったのに、静は私の言葉を遮るように、静かに続けた。
「どうします?襲われたら」
「……え?」
意味を理解するより先に、ぐいっと静の顔が近づいてきた。
「……っ!」
近い。さっきより、近い。あまりにも突然で、身体が固まる。
息をするのも忘れて、ただ静の瞳を見つめてしまう。
けれど――次の瞬間、静はふっと笑った。そして何事もなかったみたいに、すっと離れていく。



