どうせなら、最後は君に殺されたい




目を見開いた静の顔が、すぐそこにある。いつもなら見上げないと見えない顔が、今は手を伸ばせば届きそうな距離にあって。


長いまつ毛も、少し驚いたように見開かれた瞳も、普段はほとんど動かない表情も、全部がはっきり見える。



……こんな驚いた顔、するんだ。

なんて、そんな暢気なことを考えている場合ではない。


だって、このままだと倒れる。私も静も。


そう思った瞬間、反射的にぎゅっと目を瞑った。


背中に床が当たる。きっと痛い。頭も打つかもしれない。



そう思って身体を強張らせたのに――いつまで経っても、衝撃は来なかった。



「あぶねー、間一髪」



すぐ近くで、低い声がした。

恐る恐る目を開ける。

最初に目に入ったのは、私の背中に回された静の腕だった。

私を床に叩きつけないように、しっかりと抱えるように支えている。


そして、ゆっくりと床に下ろされた感触。

どうやら静が咄嗟に身体を捻って、私を庇ったらしい。



「勘弁してくださいよ、ふみさん」

「……!」



呆れたような声。でも、その声があまりにも近くて、私は返事をすることすらできなかった。