どうせなら、最後は君に殺されたい




「家の中くらい、並んで歩いてもいいんじゃない?」



言ってから、少しだけ恥ずかしくなる。

なんだか、「もっと私の近くにいて」と言っているみたいに聞こえた気がしたからだ。


静はしばらく黙って何かを考えるように私を見るでもなく、私から目を逸らして、ほんの少し呆れたような声を出した。



「ボディーガードの前に、この家でふみさんの隣に並んで歩ける人は親父しかいませんよ」

「……え?」

「そんなことしたら、俺が組員たちから殴られます」



淡々と付け足す静に、思わず目を瞬かせる。


……ああ。そういうことか。

静の言っていることは、もっともだ。


この家で私の隣を歩くのが許されているのは、おじいちゃんくらい。

私が幼い頃からずっと、そういうものだった。

組員たちはみんな、私に対して必要以上に距離を取る。

もちろん優しくしてくれるし、私が話しかければ笑ってくれる。


でも、鳳条組組長のたった一人の孫娘である私の隣に気軽に並ぶような人はいない。それがこの家での当たり前なのだ。