どうせなら、最後は君に殺されたい




「帰りましょう」

「……う、うん」



そう返事をした瞬間、今までがっちりと掴まれていた手が、ぱっと離れた。


あまりにもあっさりと離されたものだから、私は一瞬、その場に取り残されたような気持ちになる。


静は何事もなかったかのように昇降口へ向かい、靴を履き替えるために自分の靴箱の前へと歩いていく。


私はというと――その場から動くこともできず、ただぼーっと立ったまま、自分の右手を見つめていた。




……なんなの。意味が分からない。



私が深澤くんと話しているだけで、まるで睨んでいるみたいな目をしていたくせに、


授業中になれば何食わぬ顔で私の髪を触ってくるし、放課後になったら急に機嫌が悪くなったみたいに私の手を掴んで、何も言わずに引っ張っていく。




それなのに――さっきまで、あんなにがっちり掴んでいたくせに。

離すときは、こんなにも簡単に離すんだ。



私は自分の手のひらを、ぎゅっと握ってみる。

さっきまでそこにあった温度を確かめるように。

静の手は大きくて、私の手なんて簡単に包み込んでしまいそうなくらいだった。