いつもなら、立ち止まって適当に愛想笑いを浮かべたり、短く返事をしたりする静なのに――今日は、無視。無視。無視。
……え?なに?どうしたの?さっきから本当にどうしちゃったの。
私の手を掴んだまま、呼びかけにも一切反応せず、ずんずんと廊下を進んでいく。
その背中からは、朝の電車のときとはまた違う、なんとも言えない圧が出ている気がする。
「……静?」
もう一度、小さく呼んでみる。でも返事はない。しかも、手は相変わらずがっちりと掴まれたまま。
……痛くはない。むしろ、私が転ばないようにちゃんと力加減はしているみたい。
でも、だからこそ余計に分からない。なんでこんなに急いでるの?なんで私の手を離さないの?私、何かした?
今日一日の出来事を頭の中で必死に振り返ってみる。
授業中に寝た……わけじゃない。先生に怒られるようなこともしていない。静に何か嫌なことを言った覚えもない。
……あ。もしかして。昼休み?いや、違う。そもそも静とはほとんど話してないし……。
だったら、何?私が何か怒らせることでもした!?
そう思うと、だんだん不安になってくる。
静って、怒ると何するか分からないんだもん。



