いや、でもまさか。授業中だし。そんなことするわけ……ないよね?
そう思った直後、またツン。
今度は明らかに何かが私の髪を引っ掛けた感触だった。
「……っ」
なんで?なんで私の髪触ってくるの?意味が分からない。
というか、静って授業中でもこんなことする人だったっけ?
子どもの頃の静なら、私が何をしていても隣に座って静かに見ているような子だった。
こんなふうに、わざと私を困らせるようなことなんて……。
ちら、と前を向いたまま横目だけで後ろを確認しようとする。
でも、怖くて振り返れない。
もし目が合ったらどうすればいいの。何を考えているのか分からないあの目で見られたら、それだけでまた心臓が変な音を立てそうだ。
「俺、歴史苦手なんだよね」
突然、隣から深澤くんの声がして、私はびくっと肩を揺らした。
「そ、そうなんだ……」
慌てて深澤くんのほうを向けば、彼は教科書を覗き込みながら小声で話している。



