「……ありがとう」
小さくそう言うと、深澤くんは首を傾げた。
「なんか言った?」
「う、ううん!何でもない!」
慌てて首を横に振る。すると深澤くんは、また楽しそうに笑った。
「変なの」
そんな会話をしているうちに、私はすっかり静のことを忘れていた。
……いや、正確には忘れていたかったのかもしれない。
今はこの時間を大切にしたい。せっかく、私に話しかけてくれる人がいるんだから。
もしかしたら――深澤くんと友達になれるかもしれない。
そのときだった。
……なんとなく、視線を感じた。誰かに見られているような気がして、私はふと顔を上げる。
「……?」
教室を見渡す。でも、特に変わった様子はない。
気のせいかな。



