## 第5話 「秘密」
「らてちゃん、行かないで」
肩に額を押しつけたまま、
まちは小さく呟く。
周りの視線が痛い。
でも。
それ以上に、
胸の鼓動がうるさかった。
「……まち」
「やだ」
子どもみたいに、
ぎゅっと私の制服を掴む。
藤崎くんも完全に困っていた。
「えっと……悪い、また後で声かける」
そう言って去っていく。
その背中を見送ったあと。
私は小さくため息を吐いた。
「……もう」
「怒った?」
まちが顔を上げる。
少し不安そうな目。
その顔を見ると、
強く怒れなくなる。
「学校でこういうのダメだってば」
「でも」
「?」
「らてちゃん、
取られそうだった」
真っ直ぐな声。
嘘も誤魔化しもない。
本気でそう思ってる顔。
「……取られないよ」
私がそう言うと、
まちは目を細めた。
「ほんと?」
「ほんと」
「じゃあ証明して」
「え?」
次の瞬間。
ぐいっ。
手を引かれる。
「ちょ、まち!?」
そのまま連れて行かれたのは、
校舎裏。
昼休みなのに、
人が全然いない場所。
「ま、まち?」
すると。
まちは私を壁際に追い込んだ。
「っ」
近い。
また近い。
最近ほんとこればっか。
「……らてちゃん」
低い声。
いつもの甘えた感じじゃない。
「俺さ、
もう限界かも」
「え……?」
「毎日、
らてちゃん見てると」
まちの指が、
そっと私の髪を触る。
優しいのに、
熱い。
「誰にも見せたくなくなる」
どくん。
心臓が大きく跳ねた。
「……っ」
「笑うのも、
喋るのも、
全部俺だけのにしたい」
そんなの、
重すぎる。
普通なら引く。
怖いって思う。
なのに。
「……まち」
私の口から出たのは、
拒絶じゃなかった。
「ん?」
「私、
そんなに特別?」
聞いた瞬間、
まちは固まった。
そして次第に、
信じられないものを見るみたいな顔になる。
「……何それ」
「え?」
「そんなの決まってるじゃん」
まちは苦しそうに笑った。
「らてちゃん以上なんて、
この世にいないよ」
その言葉に、
胸がいっぱいになる。
嬉しい。
どうしようもなく。
こんなふうに求められるのが、
幸せだと思ってしまった。
すると。
「……もう無理」
「え?」
まちは私の手を取る。
熱い掌。
少し震えてる。
「付き合って」
空気が止まった。
「俺、
らてちゃんいないと無理」
真っ直ぐな瞳。
重くて、
危なくて。
でも。
そこに映っているのが、
私だけだということが。
どうしようもなく、
嬉しかった。
「らてちゃん、行かないで」
肩に額を押しつけたまま、
まちは小さく呟く。
周りの視線が痛い。
でも。
それ以上に、
胸の鼓動がうるさかった。
「……まち」
「やだ」
子どもみたいに、
ぎゅっと私の制服を掴む。
藤崎くんも完全に困っていた。
「えっと……悪い、また後で声かける」
そう言って去っていく。
その背中を見送ったあと。
私は小さくため息を吐いた。
「……もう」
「怒った?」
まちが顔を上げる。
少し不安そうな目。
その顔を見ると、
強く怒れなくなる。
「学校でこういうのダメだってば」
「でも」
「?」
「らてちゃん、
取られそうだった」
真っ直ぐな声。
嘘も誤魔化しもない。
本気でそう思ってる顔。
「……取られないよ」
私がそう言うと、
まちは目を細めた。
「ほんと?」
「ほんと」
「じゃあ証明して」
「え?」
次の瞬間。
ぐいっ。
手を引かれる。
「ちょ、まち!?」
そのまま連れて行かれたのは、
校舎裏。
昼休みなのに、
人が全然いない場所。
「ま、まち?」
すると。
まちは私を壁際に追い込んだ。
「っ」
近い。
また近い。
最近ほんとこればっか。
「……らてちゃん」
低い声。
いつもの甘えた感じじゃない。
「俺さ、
もう限界かも」
「え……?」
「毎日、
らてちゃん見てると」
まちの指が、
そっと私の髪を触る。
優しいのに、
熱い。
「誰にも見せたくなくなる」
どくん。
心臓が大きく跳ねた。
「……っ」
「笑うのも、
喋るのも、
全部俺だけのにしたい」
そんなの、
重すぎる。
普通なら引く。
怖いって思う。
なのに。
「……まち」
私の口から出たのは、
拒絶じゃなかった。
「ん?」
「私、
そんなに特別?」
聞いた瞬間、
まちは固まった。
そして次第に、
信じられないものを見るみたいな顔になる。
「……何それ」
「え?」
「そんなの決まってるじゃん」
まちは苦しそうに笑った。
「らてちゃん以上なんて、
この世にいないよ」
その言葉に、
胸がいっぱいになる。
嬉しい。
どうしようもなく。
こんなふうに求められるのが、
幸せだと思ってしまった。
すると。
「……もう無理」
「え?」
まちは私の手を取る。
熱い掌。
少し震えてる。
「付き合って」
空気が止まった。
「俺、
らてちゃんいないと無理」
真っ直ぐな瞳。
重くて、
危なくて。
でも。
そこに映っているのが、
私だけだということが。
どうしようもなく、
嬉しかった。
