## 第4話 「特別」
「俺だけ見てよ」
夜の静かな通りに、
まちの声が溶ける。
私は何も言えなかった。
だって。
そんなふうに言われたこと、
今まで一度もなかったから。
みんなは、
“かわいい私”が好きだった。
でもまちは違う。
私が誰を見るか、
誰と笑うか、
そんな小さなことまで気にしてくる。
重い。
ほんとに重い。
なのに——。
「……困る?」
まちが少しだけ不安そうに聞いた。
その顔が、
あまりにも寂しそうで。
「……困らない、かも」
気づけば、
そう答えていた。
瞬間。
まちの目が大きくなる。
「……ほんと?」
「う、うん……」
すると次の瞬間。
ぎゅっ。
「!?!?」
突然抱きしめられた。
「ま、まち!?」
「やば……うれしい」
耳元で聞こえる声が、
震えている。
心臓がうるさい。
近い。
温度が熱い。
「ちょ、離れて……!」
「やだ」
即答。
「少しだけ」
「少しって何分!?」
「一生」
「重い!!」
思わず叫ぶと、
まちは吹き出した。
「ははっ、らてちゃん面白い」
「誰のせい!?」
もうほんと調子狂う。
でも。
抱きしめられたままなのに、
嫌じゃなかった。
むしろ。
離れると、
少し寂しいって思ってしまった自分に驚く。
◇ ◇ ◇
翌日。
昼休み。
私は中庭で友達と話していた。
すると。
「らてちゃーん」
また来た。
まち。
最近ほんと毎日来る。
「雲茶くん今日もいる〜!」
「仲良すぎじゃない?」
女子たちが騒ぐ。
まちは気にした様子もなく、
私の隣にしゃがみこんだ。
「お昼食べた?」
「まだだけど」
「じゃ、一緒に食べよ」
そう言って、
私の隣をぽんぽん叩く。
大型犬すぎる。
友達たちもニヤニヤしてるし、
恥ずかしい……。
「はいはい、お邪魔虫は退散しますよ〜」
「えっ、ちょっ」
友達たちは面白がって去っていく。
残された私とまち。
すると。
「はい、あーん」
「……は?」
まちが抹茶クッキーを差し出してきた。
「雲茶の新作」
「え、自分で食べれば?」
「らてちゃんに最初に食べてほしい」
さらっと言う。
ずるい。
そういうの。
「……っ」
恥ずかしくて、
でも断れなくて。
小さく口を開ける。
ぱく。
「……おいしい」
「ほんと?」
まちは嬉しそうに笑った。
その笑顔を見た瞬間。
胸がきゅっとする。
なんでだろう。
最近、
まちを見ると苦しくなる。
すると。
「らてー!」
また男子の声。
振り向くと、
藤崎くんが手を振っていた。
その瞬間。
ぴくっ。
まちの表情が止まる。
……あ。
やばい。
「らて、
今日のプリント——」
「ねぇ」
まちが遮る。
笑顔。
なのに怖い。
「今、
俺と話してるよね?」
空気が凍る。
藤崎くんも困った顔になる。
「いや、すぐ終わるから——」
「やだ」
まちは私の肩に額を乗せた。
まるで、
他の誰にも渡したくないみたいに。
「らてちゃん、
行かないで」
その声が、
甘すぎて。
私はもう、
まともに息ができなかった。
「俺だけ見てよ」
夜の静かな通りに、
まちの声が溶ける。
私は何も言えなかった。
だって。
そんなふうに言われたこと、
今まで一度もなかったから。
みんなは、
“かわいい私”が好きだった。
でもまちは違う。
私が誰を見るか、
誰と笑うか、
そんな小さなことまで気にしてくる。
重い。
ほんとに重い。
なのに——。
「……困る?」
まちが少しだけ不安そうに聞いた。
その顔が、
あまりにも寂しそうで。
「……困らない、かも」
気づけば、
そう答えていた。
瞬間。
まちの目が大きくなる。
「……ほんと?」
「う、うん……」
すると次の瞬間。
ぎゅっ。
「!?!?」
突然抱きしめられた。
「ま、まち!?」
「やば……うれしい」
耳元で聞こえる声が、
震えている。
心臓がうるさい。
近い。
温度が熱い。
「ちょ、離れて……!」
「やだ」
即答。
「少しだけ」
「少しって何分!?」
「一生」
「重い!!」
思わず叫ぶと、
まちは吹き出した。
「ははっ、らてちゃん面白い」
「誰のせい!?」
もうほんと調子狂う。
でも。
抱きしめられたままなのに、
嫌じゃなかった。
むしろ。
離れると、
少し寂しいって思ってしまった自分に驚く。
◇ ◇ ◇
翌日。
昼休み。
私は中庭で友達と話していた。
すると。
「らてちゃーん」
また来た。
まち。
最近ほんと毎日来る。
「雲茶くん今日もいる〜!」
「仲良すぎじゃない?」
女子たちが騒ぐ。
まちは気にした様子もなく、
私の隣にしゃがみこんだ。
「お昼食べた?」
「まだだけど」
「じゃ、一緒に食べよ」
そう言って、
私の隣をぽんぽん叩く。
大型犬すぎる。
友達たちもニヤニヤしてるし、
恥ずかしい……。
「はいはい、お邪魔虫は退散しますよ〜」
「えっ、ちょっ」
友達たちは面白がって去っていく。
残された私とまち。
すると。
「はい、あーん」
「……は?」
まちが抹茶クッキーを差し出してきた。
「雲茶の新作」
「え、自分で食べれば?」
「らてちゃんに最初に食べてほしい」
さらっと言う。
ずるい。
そういうの。
「……っ」
恥ずかしくて、
でも断れなくて。
小さく口を開ける。
ぱく。
「……おいしい」
「ほんと?」
まちは嬉しそうに笑った。
その笑顔を見た瞬間。
胸がきゅっとする。
なんでだろう。
最近、
まちを見ると苦しくなる。
すると。
「らてー!」
また男子の声。
振り向くと、
藤崎くんが手を振っていた。
その瞬間。
ぴくっ。
まちの表情が止まる。
……あ。
やばい。
「らて、
今日のプリント——」
「ねぇ」
まちが遮る。
笑顔。
なのに怖い。
「今、
俺と話してるよね?」
空気が凍る。
藤崎くんも困った顔になる。
「いや、すぐ終わるから——」
「やだ」
まちは私の肩に額を乗せた。
まるで、
他の誰にも渡したくないみたいに。
「らてちゃん、
行かないで」
その声が、
甘すぎて。
私はもう、
まともに息ができなかった。
