花より甘く、抹茶より苦く

## 第11話 「発覚」

“私だけ特別”

そう思うたび、
胸が満たされる。

危ないって分かってる。

この恋は普通じゃない。

でも。

まちが私を求めてくれるたび、
嬉しくて仕方なかった。

◇ ◇ ◇

その日の放課後。

私はカフェ花園で接客をしていた。

「らてちゃんおすすめください!」
「今日もかわいい〜!」

いつも通り笑う。

でも。

頭の中はまちでいっぱいだった。

今何してるかな。

会いたい。

触れたい。

……ほんと重症。

すると。

カラン。

ドアベルが鳴る。

「いらっしゃ——」

言葉が止まった。

入ってきたのは、
まちだった。

制服姿のまま。

しかも。

「……まち!?」

店の中で名前を呼んでしまい、
私はハッとする。

お客さんたちがざわついた。

「え、雲茶の?」
「隣の店の子だよね?」

やばい。

なんで来たの!?

すると。

まちはまっすぐ私を見た。

その目が、
少しおかしい。

「らて」

名前を呼ばれただけで、
胸が跳ねる。

でも今はそんな場合じゃない。

「ちょっと……!」

私は慌ててカウンターから出る。

すると。

まちは突然、
私の手首を掴んだ。

「会いたかった」

その声が、
少し震えていた。

「今日、
全然話せなかった」

「まち、
今ダメ……!」

「やだ」

離してくれない。

店内の視線が集まる。

嫌な予感が、
背筋を這う。

するとその時。

「……らて」

低い声。

凍りつく。

振り返ると、
そこには。

お父さんが立っていた。

「っ……」

空気が一瞬で冷える。

お父さんの視線は、
私たちの繋がれた手に向いていた。

そして。

まちを睨む。

「雲茶の息子」

まちは私を庇うみたいに、
少し前へ出た。

その瞬間。

「お前、
うちの娘に何してる」

怒気を含んだ声。

私は血の気が引いた。

「お父さん、違っ——」

「らては黙ってろ」

ぴしゃりと言われる。

まちも、
珍しく笑っていなかった。

静かな顔。

でも。

私には分かる。

今、
すごく怒ってる。

「……らてに、
そんな言い方しないで」

低い声。

店内がざわつく。

「は?」

お父さんの眉が動く。

まちは私の手を、
さらに強く握った。

逃がさないみたいに。

「俺、
らて傷つける人嫌い」

その言葉に、
空気が凍った。

次の瞬間。

「ふざけるな!!」

お父さんの怒鳴り声が、
店中に響いた。