花より甘く、抹茶より苦く

プロローグ 「隣同士のカフェ」

昔から、
商店街にはひとつの噂があった。

——“花園と雲茶は仲が悪い”。

新しくできた洋風カフェ、
カフェ花園。

昔から続く老舗和カフェ、
雲茶。

隣同士なのに。

店主同士は目が合えば睨み合い、
商店街の人たちは困ったように笑う。

「またやってるよ」
「ほんと犬猿だねぇ」

そんな言葉が、
日常だった。

でも。

子供たちには関係ないはずだった。

本当なら。

◇ ◇ ◇

「らてちゃーん!」

「今日もかわいい!」

放課後。

カフェ花園は、
今日も賑わっていた。

「ありがとうございます」

華園らては、
にこっと笑う。

ふわりと揺れる髪。

花みたいな笑顔。

その姿を見るだけで、
客は幸せそうに笑った。

“学園の華”。

学校でも有名な、
誰からも愛される女の子。

でも。

そんならてには、
ひとつだけ苦手な場所があった。

それが。

隣の店。

——雲茶。

店の前を通るたび、
父は嫌そうな顔をする。

「らて、
あそこには行くな」

何度も言われた。

理由は教えてくれない。

だから。

らてはずっと思っていた。

“どんな人がいるんだろう”って。

そしてある日。

運命は、
本当に突然やってくる。

◇ ◇ ◇

カラン——。

春風で、
小さな鈴が鳴った。

その瞬間。

「……っ」

店から出てきた男の子と、
真正面からぶつかる。

「ご、ごめ——」

顔を上げた瞬間。

言葉が止まった。

柔らかそうな黒髪。

抹茶みたいに優しい瞳。

人懐っこい笑顔。

「だいじょぶ?」

その声は、
驚くほど優しかった。

「……う、うん」

らてが戸惑っていると。

男の子は、
ふっと笑った。

「初めて見た。
花園の子?」

その瞬間。

らての心臓が、
どくんと跳ねた。

なぜか分からない。

でも。

この出会いが、
人生を変える気がした。

そして。

彼女はまだ知らない。

この恋が。

甘くて、
苦しくて、
壊れるくらい重たい愛へ変わっていくことを。

——これは。

花のように愛される少女と、
抹茶みたいに優しくて危険な少年の。

運命の恋の始まり。

そんな言葉が、
日常だった。

でも。

子供たちには関係ないはずだった。

本当なら。

◇ ◇ ◇

「らてちゃーん!」

「今日もかわいい!」

放課後。

カフェ花園は、
今日も賑わっていた。

「ありがとうございます」

華園らては、
にこっと笑う。

ふわりと揺れる髪。

花みたいな笑顔。

その姿を見るだけで、
客は幸せそうに笑った。

“学園の華”。

学校でも有名な、
誰からも愛される女の子。

でも。

そんならてには、
ひとつだけ苦手な場所があった。

それが。

隣の店。

——雲茶。

店の前を通るたび、
父は嫌そうな顔をする。

「らて、
あそこには行くな」

何度も言われた。

理由は教えてくれない。

だから。

らてはずっと思っていた。

“どんな人がいるんだろう”って。

そしてある日。

運命は、
本当に突然やってくる。

◇ ◇ ◇

カラン——。

春風で、
小さな鈴が鳴った。

その瞬間。

「……っ」

店から出てきた男の子と、
真正面からぶつかる。

「ご、ごめ——」

顔を上げた瞬間。

言葉が止まった。

柔らかそうな黒髪。

抹茶みたいに優しい瞳。

人懐っこい笑顔。

「だいじょぶ?」

その声は、
驚くほど優しかった。

「……う、うん」

らてが戸惑っていると。

男の子は、
ふっと笑った。

「初めて見た。
花園の子?」

その瞬間。

らての心臓が、
どくんと跳ねた。

なぜか分からない。

でも。

この出会いが、
人生を変える気がした。

そして。

彼女はまだ知らない。

この恋が。

甘くて、
苦しくて、
壊れるくらい重たい愛へ変わっていくことを。

——これは。

花のように愛される少女と、
抹茶みたいに優しくて危険な少年の。

運命の恋の始まり。