凸凹だっていいじゃないか

 午後の部、開始5分前になっても、奈央は戻ってこなかった。

「矢野さん、山内さんの場所知らない?」
「お手洗いに行っているようなのですが……声をかけても返事がなくて。保健室なども探しましたが、いませんでした」

 さっきから、ひっきりなしに先生方から聞かれる。
 大運動会の競技は、人数が多ければ抜けることができるけれど、人数が足りないだけならばそのまま始まってしまうからだ。ああ無情。
 今日、補欠の子は休んでしまっているらしい。
 奈央や奈央や、どこに行ったんだいお前さんは……。

 必死に探していると……。
 あ、いた!!
 体育館裏で数人に囲まれてながら、ガムテープか何かを手にしている。
 ……競技の道具でも直しているのかも?
 近づいてみると。

「そこも直しておいて」
「まったく……なんで走るのかなぁ」
「気をつけなさいよ、もっと」
「……ごめんなさい」

 うわぁお、上級生に責められているようだ。
 どうやら奈央は急いで走った結果、競技の道具を壊してしまったらしい。どうやって壊したんだお前は。
 私は迷わず、上級生に声をかけた。

「すみません、修理はあとでにさせてください。この子、リレーに出場するので」

 すると、相手は……。

「あ、逆にうちら有利になるんじゃね?」
「じゃあこのまま修理しとけよ」

 ……うん、とりあえず、相手の性根が腐っていることはわかった。

「ちょっとすみませーん」

 奈央の腕を掴んで、無理やり立ち去ったのだった。