「水澄さん、水澄さん」
呼ばれて不意に顔をあげる。するといつのまに私の目の前に移動したのか、数人の男子学生が振り返っていた。
「週末、飲み会があるんだけど参加しないすか?」
「え……どうかな、参加するかな……?」
「出来れば参加してください!お願いします!」
飲み会を通して教授に気にいられるならまだしも、私と仲良くなってもメリットがなければ、なんの得にもならないのになあ。
それに、飲み会と言えば見過ごせないこともある。
「(ひとりで遅い時間に歩くのもやだ……)」
たとえば、イヤホンをつけて夜道を歩けない。
満員電車に乗ると高確率で痴漢にあうから乗れない。満員電車じゃなくても、運良く座れたとしても、比較的空いているのにも関わらず隣に男の人が座るから電車は嫌い。
女性ってだけで人生のハードルは高いと思う。
「(凪智が一緒にいればいいかな?)」
それでも、心強い友人がいれば怖くない……と、思う。そう思いたい。じゃなきゃ、生きづらい毎日に負けることに繋がる。
「えっと……考えておくね……?」
「前向きに!」
男子たちは納得したのか前を向いた。私も作業に戻る。



