年下御曹司は、車椅子の彼女に愛を刻み込む。




 ひかりとのランチは、結局十二時四十分になった。

 二人で入った小さなパスタの店は、カウンター席が多く、テーブルが狭かったが、その分こじんまりとして落ち着いている。だが店内は広く段差がないため車椅子で入れるから私はよく利用する。

 いつものように鈴が選んだのはナポリタンで、ひかりはカルボナーラだった。


「今日も榛名さん、鈴ちゃんとまた話ししてたね?」と、フォークを回しながらひかりが言った。


「そうですか?」

「そうだよ」

「そんなことは……」

「鈴ちゃんは落ち着かない時、書類の角を整えるよね」


 鈴はフォークを持ったまま、少しだけ静止した。


「……観察が細かいですね、宮田さん」


「まぁ、職業病かな。ねぇ、鈴ちゃん。あなたは、あの人のことどう思ってるの? 仕事上のお客様として、じゃなくて」


 鈴はナポリタンをフォークに巻き付けながら答えなかった。


「聞かなきゃよかった?」

「……いいえ」

「じゃあ、答えてもいいよ」


 鈴は少しだけ考えた。