「……ありがとうございます」 鈴は、丁寧に頭を下げた。 「でも、結構です」 それだけ言って、前を向いた。すると、梨紅が車椅子を前に進める。 だけど「姉ちゃん」と梨紅が名前を呼ぶ。 「あの人、本気っぽいよ」 「だけど、行くわよ」 「……はい」 冷たい夜風の中を、鈴は進んだ。 振り返らなかった。 ただ、なぜか。 目の奥が、じんと熱かった。