私の彼氏、じつは暴走族の総長でした!?

ピピピピッ

目覚ましの音が私の耳に響く。

「んぅ....」

ぼやけた視界で手探りでアラームを止めた。

もう少しだけ....

昨日いろんなことがあったから....まだ眠たい。

「莉乃起きて」

低い声がすぐ近くで聞こえる

「んぅ〜嫌だ、まだ寝てたいよ」

「莉乃」

布団に顔を埋めると、小さい笑い声がした。

「起きないと襲うぞ」

その声で、私はようやく海くんだと確信した。

「なんでいるの!?」

私は目を見開いて海くんと距離を取った。

「朝迎えに来たら、お前のお母さんが家に入って起こしてくれって」

ん〜....もぅお母さん....なんてこと言うの....

「海くん、着替えるから向こう向いてて」

布団で顔を隠しながら言った。

「見ててやろうか?」
クスっと意地悪そうに笑った。

「ちょ、何言ってるの!」

「嘘だよ、顔真っ赤にして可愛い」

今日の海くん、少し積極的.....

私は制服に着替えて学校に行く準備をした。

「スカート短くね?」

海くんの方に視線を向けると
少しいじけたような顔だった。

「可愛いでしょ?」

海くんの顔を覗き込む

「可愛いけど....」

私の腕をギュッと引っ張って

スカートの方をチラッと見た。

「他のやつに見られたくねぇ」

海くんの手が私の太ももを触れる。

触れられた太ももがくすぐったい。

「見せないよ.....海くんだけにしか」

そう言った瞬間、海くんの目が細まる

「まじで.....煽んのうめぇ」

私の部屋には時計がカチカチという音を鳴らして2人だけの空間をつくった。

学校に向かう時も私の手はずっと離さなかった。

「今日の放課後空けといて」

「何かあるの?」

海くんは楽しそうに笑った。

「良いから、楽しみしとけ」

.....何か企んでる?

海くんは授業中も私にちょっかいばかりかけてきて

先生の声...眠たくなるなぁ

先生の声が遠く聞こえて

前の黒板の文字が少しずつぼやけていた。

その時
髪の毛を軽く引っ張られる感覚がして私は後ろを振り向く。

海くんは少しだけ顔をしかめていた。

「寝んなよ」

そう言いながら
海くんが私の髪の毛を掴んで指でなぞる

「居残りになったら放課後あえねーだろ」

私はその言葉でバッチリ目がさめた。

初めての放課後デート

絶対に行きたい!

時計を見上げた14時10分

放課後デートまであと2時間....

1秒毎に私の胸が高まっていく。



そして放課後になって静まり返った教室には私と海くだけが残った。

「行くか」

海くんは私に笑みを向けて手を差し出した。

私はその手をギュッと握って海くんについていった。

しばらく歩くと私の目に映ったのは
白くて綺麗なマンションだった。

「ここ、おれの家」

え?家?私今から海くんの家におじゃまするの?

顔が熱くなった。

「ほら、これ被れ」

海くんが私にポンっと投げてきたのはバイクのヘルメットだった。

「後ろ、乗れ」

家じゃなかった....

目の前にある初めてのバイクに私はゆっくり座った。

海くんの運転.....大丈夫かな。

「事故らないでね!?」

海くんに掴まる手を震わせた。

「大丈夫だよ、ちゃんと掴まっとけ」

その時、アスファルトを揺らすような重低音が鳴り響く

ブォンッーー

すごい....乗ってる人はこんな感覚なんだ。

少しずつバイクが動き出す。

私は海くんの腰からギュッと手を回した。

制服が風で揺れてヒラヒラとなる。

海くんの運転は荒い運転じゃなくて

私を安心させてくれるような運転だった。

バイクってこんなに楽しいんだ.....

夏の風は熱い。ヘルメットの中は息苦しかった。

でも、海くんとだったら、それも全部楽しく思えた。

しばらくすると海くんはバイクを止めた。

店内から香る匂いが私の鼻をスッと通った。

「美味しそうな匂いがする」

私は目をキラキラ輝かせた。

「腹減っただろ、飯食おうぜ」

海くんは私の肩に手を回して店内に入った。

店内に入ると子供連れやカップルがたくさんいる。

「よく、友達と来るんだよ」

「なんでも食え、奢ってやるよ」

海くんが子供みたいにニコっとして私を見た。

しばらくしてご飯を食べて私たちは店内から出た。

「ご馳走様、海くん、ありがとう」

「次行くぞ」
私はヘルメットを手に取って頭にかけた。

ブォンッーー

何度聞いてもバイクの音は慣れない。

私はまた海くんの腰からギュッと手を回した。

少しだけ空が暗くなって、車通りが少なくなった。

どこに行くんだろう.....

信号に引っかかった時

「ここから、目閉じてろ」

目閉じるって危なくない!?

「もうすぐ着くから」

私はゆっくり目を閉じて、海くんの腰をさっきより強くにぎった。

バイクの音が少しずつ静かになる。

「まだ目開けるなよ」

少し楽しそうな声だった。

海くんが私のヘルメットを取って、私の手を引っ張ってバイクから下ろした。

海くんはそのまま私の手を引いてゆっくりと歩く。

「いいぞ、目開けて」

視界がぼやけた先にはギラギラした光がうつった。

.....なにこれ?

視界がどんどん元に戻っていく。

「綺麗だろ」

海くんの声がすぐそこで聞こえた。

視界が戻った時

風が私の頬を撫でた。

「街が....キラキラしてる」

上を見ると空が近い....

「めっちゃ綺麗」

私は自分でもわかるほど満面の笑みだった。

「俺さ.....」

急に海くんの声が落ち着いた。

「後ろに乗せたのお前が初めてなんだよ」

え?そうなの.....

「結婚するやつしか乗せたくねーんだよ」

海くんが私に視線を向けて目がキリッと変わった

「莉乃」

その瞬間、ポケットから小さな箱を出した。

「高校卒業したら」

私はごくりと唾を呑む

「俺と結婚してくれ」

その瞬間、私は大粒の涙を流した。

海くんが暴走族だった事を知った夜。

海くんに冷たくされた日の事。

全て思い返した。

私はその箱をゆっくり受け取って

「はい」

海くんに飛びつくように抱きついた。

「なに、泣いてんだよ」

海くんの声がわかるぐらい震えていた。

「でも、条件があるの」

「なんだよ」
海くんが私を離して、目を見つめてきた。

「子供3人は欲しいの!!」

海くんはその場に座り込んで頭を掻き上げた。

「いいけど」

急に立ち上がって私の顎をグイっとする。

「意味わかってんのかよ」

わかるよ。

海くんとだったら....良いと思ったの。

「海くんとだったら」

私は顔を少しだけ横に向けて赤くなった。

「なら約束な」

海くんは小指を私に差し出した。

私はそっとその小指を握った。

「海くん」

「ん?」

「愛してる」

私は海くんに初めて自分からキスをして
すぐに離した。

「ばーか、短ぇよ」

海くんの手が、私の後頭部に触れてギュッと引き寄せられた。

唇が触れる。

私たちは少し長いキスをした。

「俺も、愛してる」

海くんとだったら、どこまででもいけそう。

そんな気がした。

暴走族だったって良い。

私の彼氏は絶対に宇宙で1人の海くんだけ。


〜〜〜〜〜〜〜10年後〜〜〜〜〜〜

「起きなさい!」

私は朝からいつもいつも大声で叫ぶ。

ガチャー

扉から出てきたのは

「ママ、まだ眠いよ」

「ママ〜ご飯〜」

「莉乃〜朝から叫ぶなよ〜」

眠そうに起きてきたのは私の息子と娘
そして旦那の海くん。

「おはよう」

海くんは私のお腹にキスをした後に私の唇に手を触れた。

「莉乃は後での、お楽しみな?」

私のお腹にいるのは小さな命。

それにしても海くんの意地悪は全然変わってない。

「海くん、少しお腹が痛いの」

「そろそろかもしれない」

不安で怖かった。

1人目も2人目も想像以上に痛かった。

「俺、今日仕事休むよ」

子供達を準備させて、海くんは私の代わりに車で送って行った。

「うぅ....痛い.....」

かかりつけの産婦人科に電話した。

「今すぐにきてください」

私はその声を聞いて、覚悟を決めた。


プルルルルー

「海くん、病院に行かなきゃ」

「わかった、すぐ帰る」
海くんは焦ったような声だった。

しばらくして玄関の扉が開いた。

「莉乃、大丈夫か?」

私は海くんの肩に掴まりながらゆっくり歩いた。

しばらくして病院に着く。

「痛い....」

私は着いてすぐに分娩台に乗って
お産が始まった。

横の手すりを思いっきり握りしめた。

意識が遠くなりそう.....

その瞬間

「頭でましたよ〜」

「お母さん、もう少しだからね〜」

周りにいた、先生や看護師たちが私に声をかけた。

しばらく私は、看護師の指示に呼吸を繰り返した。

「はい、産まれましたよ〜」

「元気な女の子です」

病院全体になり響く赤ちゃんの泣き声。

海くんは私の手を強く握りしめて

目に涙を溜めた。

「ありがとう」

私の胸に小さな命がのっかった。

「可愛い」

「莉乃に似てんなぁ....可愛い」

私は新しく産まれた小さな手を優しく握りしめた。

「莉乃」
泣きそうな声で言う海くん。

「どうしたの?」

「俺、頑張るからな」

目に涙を溜めて言った海くんは嬉しさと、これからの覚悟がもっと強くなったような表情だった。


海くん、子供が3人ほしいって言った時びっくりしてたけど、約束守ってくれてありがとう。

海くんと出会って結婚して、これから色々な困難があるけど私は海くんだけだし、海くんには私だけだよ。

おじいちゃん、おばあちゃんになっても来世でもーー

愛してる。

          完


あとがき


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