私の彼氏、じつは暴走族の総長でした!?

昨日の海くんとのキスが忘れられない。

思い出すたび心臓がドキドキする。

「ッ〜〜〜」

恥ずかしい、心臓が持たないよ。

「莉乃おはよう」

後ろから聞こえたのは優しい声の海くんだった。

私は顔を熱くした。

「お、おはよう」

「どうした?」
海くんが私の顔をひょこっと覗き込む。

....あれ?案外いつも通り....?

私は昨日の事が忘れられなくて海くんと目が合わせられない。

でも、昨日のキスも慣れていた感じがしたような....

元カノとかいるのかな。

海くんの行動1つで私を不安にさせたりドキドキさせたりする。

私たちはいつも通り教室に入って席に着く。

「莉乃、キスしたこと恥ずかしいの?」

私の耳元で小声で囁いた。

「だって.....ちょっと悪い海くんもかっこよかったんだもん....」

海くんは私からスッと離れると、ため息をついた。

「だから煽んなって」

.....煽る?

昨日も言ってたけど、どういう事だろう。

''キーンコーンカーコーン''

学校のチャイムが鳴った。

私は、また海くんの視線を感じながら授業を受けた。

その時、後ろからぐしゃぐしゃに丸められた紙が机の上にコロンと投げられた。

私は先生にばれないようにゆっくりと紙を広げた。

''今日は一緒に帰るぞ''

その文字を見た時、胸が熱くなった。

気づけば、口元が緩んでいた。

「おい、そこ、なにニヤニヤしてんだ〜」

黒板の前に立っている先生が突然私を指さした。

やば....

教室にクスクスと笑い声が広がる。

その時

「アホか」

後ろから小さく聞こえる声

振り返る事はできなかったけど少し笑いを堪えたような声だった。

もう恥ずかしい、海くんいじわるすぎでしょ....

昼休みになって私は唯とお弁当を食べた。

「莉乃〜海くんどこ行ったの?」

いつも教室にいる海くんがいない

トイレかな....

その時、廊下が急にザワついているのが見えた。

「ねぇ、あの人誰?」

「モデルかな?美人〜」

「スタイルめっちゃ良くない?」

教室の窓から生徒たちが顔を乗り出して見ていた。

私も気になって扉の方に歩いていった。

その瞬間、胸が張り裂けるように痛かった。

ーー海くん?

隣にいる人....だれ?

髪の毛がサラサラしててすごく美人な人。

海くんの腕を組んで話している

「ねぇ、海、昨日のあの女だれ?」

昨日.....?

「昨日なんで途中で帰っちゃたの?海のバイクーー」

海くんの手のひらが女性の口元を塞いだ。

「今、それ言うなって」

目を離したいのに離せなかった。

その時、海くんと目があって私は咄嗟に視線をずらした。

「莉乃ーー」

逃げるように教室に戻った。

見たくなかった。今さっきまで嬉しかったのに。

海くん、私の事本気なの?

私だけが知ってるって

期待した私が馬鹿だった。

席に着くと私の肩を軽く引っ張られた

「莉乃、待って」

「触んないで!」

ハッとした。本当はたくさん聞きたいことがあるのに。

でも、私の口は閉じなかった。

「あの人、待ってるんじゃないの、行ってあげたら」

「なんだよ、それ」

海くんは低い声で眉を寄せた。

一瞬何か言いたそうだったのに
何も言わずに教室から出て行って女性の手を引っ張って行った。

.....あぁ、急に頭が痛い。

昼休みが終わって授業を受けた。

いつも後ろにいる海くんがいない。

嫌な予感しかしなかった。

もしかして、あの女性と....

「先生、頭が痛いので保健室行ってきます」

私はイスからゆっくり立ち上がって教室を出た。

廊下には授業を教えてる先生の声だけが響いていた。

海くん....どこいるのかな。

私はどんどん体がだるくなっていった。

「熱っぽい....」

視界がぼんやりして足がふわふわした感覚だった。

....地面が近い。

私はそのままドサっと倒れ込んだ。

遠くから男性の声が聞こえた。

「大丈夫?」

男の人の声、海くん.....?

会いたかった。

熱で目の前がぼやけて顔は見えなかった。

「あっつい」

私の体が宙にふわりと浮いた。

「海くん...?あの女の人だれだったの....?」

私は体を持ち上げられたまま首に手を回して唇に触れた。

「.....離れないでよ」

私はそのまま視界が真っ暗になった。

気がつくと白い天井、白いカーテンで仕切られたベッドの上だった。

....保健室?

体が痛くてだるい。

私、どうやって.....

ハッと思い出した。

海くんが連れてきてくれたんだ。

結局、あの女の人の事聞かなかったなぁ....

その時、カーテンがシャッと開く音がした。

「莉乃、大丈夫か?」

髪が乱れて息を切らした海くんだった。

.....走ってきたの?

「お前、教室戻ったらいなかったから」

ーーえ?

海くんが連れてきてくれたんじゃ.....?

だって私、あの時海くんだと思って....


「莉乃、ごめん」

「あれ、妹なんだよ」

......妹?

「みんなの反応楽しんで、面白がってんだよ」

私は大きなため息をついた

私が勝手に嫉妬して
勝手に怒って、嫌な事ばっかり言っちゃった。

その時、開いているカーテンから男性が入ってきた。

「あれ?海じゃん」

男性の目線が私に向いた。

「あー、なるほど.....」

「廊下で倒れてた子だよね?」

「海の彼女?可愛いじゃん」

「だまれ」

海くんは少し照れくさそうに言った。

私が廊下で倒れてた事を知ってる?

.....てことは。

「連れてきてくれたの、あなたですか...?」

「うん、そうだよ、歩けなさそうだったから」

保健室の空気が一瞬で静かになる

「莉乃ちゃんだっけ?」

「俺の首に手を回して海の名前を呼んでたよ?」

「そのあと、びっくりしたなぁ」

もしかして.....

「唇、柔らかかったね」

私は体がズンと重くなって震えた。

「海〜、彼女、大胆だったよ?」

海くんに視線を向けると、さっきまで落ち着いてた顔が鋭い目つきに変わった。

眉がぴくりと動く。

「おい、お前まじで黙れよ」

海くんが男性の胸ぐらを思いっきり掴んで押し倒した。

「怖いなぁ、海くん」

「大丈夫だよ、僕はもう教室に戻るから」

男性はカーテンを開けて立ち止まった。

振り向いて私に笑みを向けた。

「莉乃ちゃん。次は我慢しないよ?」

男性は保健室の扉をガラガラと開けて私たちに背中を向けて出て行った。

「莉乃、お前何したんだよ」

海くんの鋭い目が私に向いた。

でも、どこか少し焦ってる感じだった。

「ち、違う...海くんだと思ったの」

私の声が小さく震える。

「.....誰でもいいのかよ」

海くんは深いため息をつくと私が寝てるベッドの横にドサっと座った。

「お前さぁ......」

ぐしゃっと髪の毛を掻き上げた。

「俺の隣から離れんなよ」

海くんが不機嫌そうに私を見つめた

その時

ギシッー

ベッドの軋む音。

寝てる私を海くんが上から覆い被さってきた。

海くんの鋭い目つきが私に近づく

「海くーー」

言い終わる前に唇を塞がれた

乱暴なのに優しい。

いつもと違う、大人のキス

深く触れるたび心臓がドクドクする

何これ....

「あいつとキスしたんだろ」

唇が離れる。
でも、鼻先が触れそうなくらい近い。

「俺があいつとのキス忘れさせてやる」

「待っーー」

「黙ってろ」

再び、海くんの熱い唇が触れた。

体が熱い。

熱のせいか海くんのせいか、わからない

海くんが私の唇から離れた。

「もう...終わりなの?」

自分でも驚くくらい甘い声が出た。

海くんがバッと私から離れた。

「ッ....お前....」

耳まで赤い。

余裕なんてなくなった顔。

海くんは腕で自分の口元を隠しながら視線を逸らした。

「休んでろ、先に教室に行く」

海くんが出て行って静まりかえった保健室には私の心臓の音と荒い呼吸だけだった。

私は念の為カバンに入れていた熱冷ましの薬を飲んでもう一度横になって眠りについた。

あれからどれだけ時間が経ったのかわからない起きた時には、保健室から見える空はオレンジ色になってて放課後になった。

ガラガラと扉の開く音が聞こえた。

「熱、下がったか?」

海くんは私に近づいてきて私のおでこに手を置いた。

海くんの手の体温。温かい。

「うん....だいぶ楽」

私は海くんの手を取った。

「手」

ぎゅっと軽くにぎりしめる。

「繋いで帰ろ....?」

海くんがもう片方の手で私の目を隠した

海くんの唇が私の唇に触れた。

「かわいーこと言うな」
海くんが照れくさそうにして掠れた声が耳に落ちた。

「ほら帰るぞ」

私はゆっくりベッドから降りた。

足にまだ上手く力が入らなくて、クラっとよろけた。

「大丈夫かよ」

「うん....」

「持ってろ」

海くんが私の手をぎゅっと握った。

「手繋いで帰るんだろ」

指が絡まって自然に恋人繋ぎになった。

「海くん」

「ん?」

「大好き」

私は海くんに笑みを向けた。

海くんの足がピタッと止まる。

「いい加減、黙ってろ」

ぶっきらぼうにそう言いながら
繋いだ手は離さなかった

私は朝、海くんが余裕だと思っていたけど

本当は全然余裕じゃないんだ。

海くんをドキドキさせられるのは

私だけなんだね。