雨暮くんは溺愛彼氏

「水沢ぁー。睡眠は大事だがいまは頑張って起きてようなー。」
 どわっとクラス中に笑いが起きる。……いかん、寝ていたらしい……。よだれが出ていないか慌てて確かめる。
 数学のハセセンは厳しめで、換気は大事だとか言って窓をばんばん開ける。……お陰で。移動中の彼と目が合ってしまった……どきん。
 五組と六組は合同で体育の授業があって、早めに移動している……という話を、今日、登校途中に直接彼から聞いた。
 ふ、と微笑む彼。あんなに美しい彼が……わたしの彼氏だなんて! 
 神様仏様、こんな明日が待っているだなんて昨日のわたしは想像だにしていませんでした! 人生なにがあるか分からない! 
 胸元で小さく手を振ると凛々しい眼差しのまま前を向いてすたすた進む体操着姿のあなたが……格好よくて、どきどき、胸がときめいてしまったよ。

 最近やけに雨が多くて。
 雨の日は制服がじめつくから苦手……だったのに。
 帰りに、靴箱を見て、驚いてしまった。……青空の柄の小さな封筒が入っている。なかには手紙が入っていて。
『帰りも雨だから風邪引かないようにね ぼくの眠り姫 E.A. 』