雨暮くんは溺愛彼氏

「好きだ。俺の彼女になって欲しい。」
「いえ。わたし、あなたのこと、よく知らないんですけど! 」
「そうか。名乗るのが遅れて申し訳ない。雨暮(あまぐらし)永知(えいち)。一年六組出席番号三番。得意な科目は数学、英語。苦手なものはピーマンとよく泣く人間。……特殊な性癖は持っていないが、逆に、知りたいことは、他になにか、あるか? 」
 いやいや突っ込みどころだらけなんですけど! 
 桜の葉の舞う木の下にて。
 さらさら揺れる葉の影が落ちる雨暮くんの、憂いを帯びた眼差し。
 ……嘘をついているようには見えないけれど。
 だが、しかし。
 この界隈で知らない者はいない。雨暮くんといえば、小三で企業を立ち上げて、そのサイトがみんなに人気で。しかも、雨暮財閥の御曹司。エリートでサラブレッド。わたしみたいな庶民には手の届かない存在……のはずなのに。
「あなたのことを知らないわけではないんです。……が、何故に、突然、告白なんですか? 」
「敬語はよそうか。同学年なのだし。……きみ、なんと呼ばれたい? かおちゃん。かおちん。かおたん。かーさん、……は、ちょっと、まずいか。それとも呼び捨てが好みか? 」
 なんでつき合う方向で話が進んでいるのよぅ! ひとの話聞いてる?