透羽がいたのは、墓石の前だった。 透羽はお墓の前に座り込んでいた。 傘も差さずに。 制服や髪は、雨で濡れている。 花だけは、ちゃんと新しかった。 透羽は、墓石を見たまま笑顔を浮かべていた。 その笑顔が、怖かった。 空っぽだった。 伊織が一歩前に出る。 伊「透羽ちゃん……」 透羽は見向きもしなかった。 「来ないで」 静かな声。 でも、しっかりとした拒絶だった。 航斗が低く言う。 航「断る」 透羽が小さく笑う。 「今日くらい、ひとりでいたいの」 その言葉に、胸が痛くなった。