番外編:ひとりが嫌で、今日も笑う。


屋台の灯りが、夜を明るく照らしていた。


焼きそばの匂い。

りんご飴の赤。

金魚すくいの水の音。

遠くで鳴る太鼓。

親子の笑い声。

全部が、きらきらして見える。


「夏祭りって、こんなに賑やかなんだね」

伊「透羽ちゃん、初めて?」

「……うん」


嘘じゃない。

両親と行ったことはある。

でも、ちゃんと覚えてない。


あの頃は、寂しいって言えなかったから。

笑ってばかりだったから。