ミミのサバイバル日記~生き抜くために日記を使う 敵はママ!

【日記】6月30日 晴れ

 今日はミミの誕生日。

 わたしも、とうとう10歳になりました。

 ママ。

 本当にありがとう。

 今日のごはん、すごくおいしかった。

 野菜スープも、
 ケーキみたいなおすしも。

 やっぱりママは、
 健康的なご飯を作る天才だと思う。

 砂糖は体に悪いからって、
 ケーキのかわりにおすしだったけど。

 でも、
 ミミはうれしかったです。

 プレゼントもありがとう。

 この日記帳、
 大切に使います。

「10歳になったから、文章力を身につけなさい」

 ママはそう言っていた。

 きっと、
 ミミのことを考えてくれているんだと思う。

 パパは今日もお仕事だった。

 会えなくて少しさみしい。

 でも、
 毎日がんばってくれてありがとう。

 ミミたちのために、
 働いてくれているって知ってるよ。





 ――さて。

 ここから先は、
 本音。

 わたしは知ってる。

 ママは絶対、
 この日記を読む。

 しかも、
 こっそり。

 わたしが学校に行ってる間に、
 ぜんぶ読む。

 手紙も。

 机の引き出しの中も。

 何でも

 勝手に見る人だから。

 だから、
 【読まれてもいい日記】を書いた。



 いい子のミミ。

 感謝してるミミ。

 ママの言うことをちゃんと聞くミミ。

 ……全部、演技。

 本当のことなんか書いたら終わる。

 ママは怒る。

 泣く。

 怒鳴る。

 そして――鬼になる。

『ミミのためなのに!』

『ママはこんなに頑張ってるのに!』

『あなたのためを思って言ってるの!』

 それが始まる。




 長い。

 ものすごく長い。

 逃げられない。

 だから。

 わたしは考えた。

 安心させればいい。

 嘘の日記を書いて。

 いい子のふりをして。

 ママを怒らせなければいい。

 その方が、
 被害は少ない。



これがわたしの
 生き残る方法。

 そうよ……わたしの敵はママ。

 世界でいちばん、
 苦手な人。