夜風にさらわれたお姫様


数秒後。


煌夜が小さく息を吐いた。

「行ったか」

「……怖かった」

榴愛がぽつりと呟く。


煌夜は少し黙り込んだ。

「悪かった」

「え?」

「お前巻き込んだ」

その声は珍しく弱かった。

榴愛は瞬きをする。

この人でも、そんな顔するんだ。

「……でも」

榴愛は小さく笑った。

「助けてくれたの煌夜さんです」

「……」

「だから、ありがとうございます」

煌夜は少し目を見開き、ふっと笑った。

「変わってるなお前」

「えぇ?」

「普通もっと怖がる」

「怖いですよ!?」

「じゃあなんで笑う」

「……」

自分でも分からなかった。

怖い。
危ない。
なのに。

煌夜の傍にいると安心する。

それが不思議だった。


「帰るぞ」

「はい」

再び手を繋がれる。

今度は自然だった。